R&D Interest

1. AIデバイスの開発 (シーズ主導型研究)

私は,小中学校のころからパソコンでBASICやアセンブリ言語でプログラムを組んできて,コンピュータはすごいと感じてきました.しかし,人間はもっとすごい! 1989年からニューラルネットの研究を始め,現在は人や生物の神経回路網(ニューラルネット)をソフトウエア上のみならず,エレクトロニクス技術によりデバイス化して,様々な機器に組込むための研究を行っています.人間のような優れたパフォーマンスを必要とする操作を自律的に獲得できるAIデバイスの開発を目指します.(ただし,開発するアプリケーションには,注意をはらいます)

現在のAIブームよりはるか昔よりニューラルネット研究を開始し,2012年ごろからAIデバイスの研究に本腰を入れてきました.これまで特に「ヤリイカの研究」「愛は脳を活性化する」で有名な故松本元先方が提唱した脳型コンピュータの原理モデル,スパイキングニューラルネット(SNN)の「SAMニューロンモデル」を用いて,IF型(積分発火型)ニューロンモデルでの連続値関数近似を研究してきました.

これまでの主な成果(いずれもオリジナル )

  • 階層型SAMニューラルネットの教師あり学習法を提案した(乗算器不要でFPGAに搭載が可能)→ FPGAでオンデバイス学習が可能
  • 上記学習法で必要な「中間層ニューロンへの教師信号」の生成アルゴリズムを数学的な根拠を元に提案した.

  • NFR-coding と呼ぶスパイクコーディング法 → IF型SNNでは難しいとされていた連続値関数近似を実現した.

今後の研究の可能性として

  • リカレント型SAMニューラルネットが任意のパルス系列の写像を表現できることの証明
  • 上記脳型コンピュータを用いた多自由度環境適応型筋電義手の開発

脳型コンピュータ開発の研究を通して,脳の特性を知り,自然の偉大さに畏敬の念を抱きながら,「人とは何か」「ひとり一人が輝いて生きる社会とは」等も考えていきたいと思います.

また,今日の人工知能の研究・開発には,その社会的影響に関心を払う必要があります.特に,人工知能の応用(アプリケーション)はどのようにするか,注視していく必要があると考えています.

2. 地元機関との連携 (ニーズ主導型研究)

  • 地域の大学の先生方と連携し,嚥下(えんげ)動作解析などの医療現場のニーズに応える研究を行っています.
  • 地域の企業様と連携し,高専ならではの技術貢献を行っていきます.